万緑(ばんりょく)の中(なか)や吾子(あこ)の歯(は) 生(は)え初(そ)むる

そして、咲き誇るハナミズキ

2026年度学校便り第2号新緑がまぶしい季節になりました。この時季になると、中村(なかむら)草田男(くさたお)の俳句「万緑の中や吾子の歯生え初むる」を思い出します。緑いっぱいの景色の中で、幼子の白い歯がのぞく瞬間の生命力を鮮やかに映し出す様子が見に浮かびます。青空と若葉の間から差し込む木漏れ日が、私たちにも新しい力を与え、子どもたちの成長がいっそう輝いて見える頃となりました。

アメリカでは、この時季は街路樹のハナミズキが咲き誇ります。ハナミズキはニュージャージー州の公式記念樹であることも知り、縁の深さを感じます。清楚でありながら華やかさを持つその姿は、春から初夏へ向かう季節の移ろいを爽やかに告げてくれます。新しい学校生活に馴染もうとする子ども達の姿とも重なり、見るたびにエネルギーをもらいます。漢字で表す「花水木」という名は、春先に枝を切ると水が滴るほど水分を含むことに由来するといわれます。 その名の通り、子ども達もまた、日々の学びを吸収しながらぐんぐんと成長しています。登校時に「校長先生、おはようございます」とはっきり挨拶できる子が増えました。 ある朝、授業前の廊下で「先生、早くお勉強しようよ」という声が聞こえ、学ぶことが楽しくて仕方ないという気持ちが伝わってきました。こうした一つひとつの姿に子ども達の確かな成長を感じます。

ハナミズキの花言葉には、日本語でも英語でも 「永続性」 があります。ゆっくりと時間をかけて成長する木の性質に由来するものです。子ども達の歩みもまた、一人ひとりのペースがあります。私たち教職員は、その速度に寄り添いながら支援していきます。ハナミズキのもうひとつの花言葉に 「返礼」があります。これには、日本とアメリカの交友の歴史があることを知りました。1912年に東京市長であった、 尾崎行雄氏が日米友好を願ってソメイヨシノをワシントン市へ寄贈しました。日本人が愛する花であるソメイヨシノを贈られた返礼として、アメリカの人々が愛するハナミズキが日本に贈られました。「私の想いを受けとめてください」という思いとこのエピソードが花言葉の由来とも重なり温かい気持ちが込められた花でもあります。ハナミズキの花びらに見える部分は、実は大きく発達した総苞片です。春の花、夏の緑、秋の紅葉と、四季を通じて姿を変えながら私たちを楽しませてくれます。子ども達もまた、日々新しい一面を見せ、豊かに成長していきます。うまくいかないことや失敗も、未来を生き抜くための大切な経験です。

保護者の皆様には、どうかこれからもお子さまの歩みに寄り添い、ともに成長を見守っていただければ幸いです。